絵の初心者向け、お絵描き練習方法ごとに上達する能力を考えた

絵の練習における模写やトレースによってどう上達するのか考えました。

絵の練習ではポピュラーな模写やトレースは具体的に何が上達するのか、また作品を制作するうえでの心がけなどを考えました。

トレースは、きれいな線を引く力を養う

画力が高い絵師が描いたきれいなイラストの上にトレーシングペーパーを重ねたり、トレース台を使って上から線をなぞる方法や、デジタルでお手本イラストの透明度を下げてその上にレイヤーを重ねて線をなぞっていくトレースは、お手軽なうえに練習後に綺麗なものが形に残るため、やってて楽しい練習法ではありますが、その効果に関しては懐疑的な声が多いですね。

私としては練習法としての効果は間違いなくあるものの、トレースである必要性はそんなにないという考えです。

トレースで養われる能力は、イメージ通りの綺麗な線を引く力です。それ以外の効果は恐らく薄いので、別にイラストをトレースしなくても直線や真円をフリーハンドできれいに描く練習や、ウネウネの曲線をなぞり描きしても同様の効果が得られるでしょう。

イラストをトレースすることの良い面は、退屈しないということと、初心者でもきれいな線がイメージしやすく、色々な線を引くことが強制される辺りでしょうか。

いずれにせよトレースは、初心者がお絵描きに慣れるための導入部分や、お絵描きする前の準備運動という位置づけだと私は考えます。私も毎朝コピー用紙の片面に上下左右から直線を引いたり、円を色々な始点からきれいに描く練習をしています。1日10分ちょいですが、やり始めた頃より明らかに綺麗になっています。

模写は、観察力と脳内のイメージを描写する力を養う

対象物をじっくり観察して、自分のキャンバスに描写する模写やデッサンは、まず対象を隅から隅まで見ることを要求されるので、観察力が養われます。デッサンなんかは特にそうですね、私は恥ずかしながら学校の美術の授業くらいでしかデッサンをしていませんが、こんなものかなと先生に提出しに行っても、もっと時間いっぱい細かく陰影など付けなさいとやり直しをさせられた記憶があります。

絵が上手な人と下手な人の観察力の差は、例えるならば解像度が違うんですよね。リンゴひとつとっても、赤いだけじゃなく白や黄色の色むらが存在し、テカリや反射光、しわしわなヘタの質感まで自然と観察できるようになった方がよいでしょう。

そうして脳内にインプットした対象物を、次は自分のキャンバスに転写する事になります。画像編集ソフトのように拡大・縮小コピー機能はありませんから、シルエットや各パーツの大きさのバランス・位置関係など色々な情報をもとに描いていきます。

描きあげたものが似ても似つかぬものならば、根本的に観察が足りていないか、イメージを正しく描写することができていなかったのどちらかです。いきなり細部を書き始めたり、一部のパーツから書き進めるのではなく、シルエットや全体のバランスから取り掛かるようにしましょう。

この観察力とイメージを正しく描写する力は、上手な絵を描くことにおいて最も重要な基礎体力とも言える部分かと思います。どんなに画力が高いプロでも、必ずと言っていいほどたくさんの資料を見ながら描いています。良い絵を描くために、イメージを資料で補完するのは悪いことではありません。

資料で初めて見る触れたこともないものでも、違和感無く自分の絵にすぐ落とし込めるようになりたいですね。

アウトプットで引き出しを増やしていく

上記の練習と並行して、アウトプットも必要です。アウトプットとは具体的に言うと、二次創作でもよいので、自分が考えた構図で1から絵を描いていくという事です。

模写やトレースをいくら積み重ねたところで、基礎体力を鍛えながら構図や描いた物の構造を知識として蓄えただけであって、アウトプットで実践と反省を繰り返さないと、自由自在にイメージできるようにはなりません。

人体を熟知している医師やスポーツ科学の専門家だったら誰でも、グラップラー刃牙のような様々な角度から迫力ある人体を容易に描けるわけはありませんよね。蓄えた知識を、想像力と描写力に結びつけるには実際に頭と手を使って創作するほかありません。

作品を量産するコツは、先延ばしと開き直り

自分の絵を描くうえで注意したいことは、1つの作品に入れ込みすぎない事です。できるだけ資料を用意して描き、不自然な所は直そうとする意識は必要ですが、今手がけている作品を余すとこなく完璧にしなければいけないという制約はありません。

構図・デッサン・細部の描画・線画・色塗りなどなど、全部のプロセスを何度も繰り返すことが最適な努力なので、細部の欠点に気付いたら次の作品で改善するくらいの先延ばしの気持ちが、長期的目線では大事だと思います。

誰かに見せるのが恥ずかしければ、見せる必要はありません。きちんと資料など用意して描いていれば、どこがどう変なのか、資料や参考とどう違うのか自分で判断ができるので、自分の中で反省ができていれば充分です。

ただアナログ・デジタル問わず仕上げた作品は非公開でも可能な限り保管しておいたほうが、自分の成長を見返す事ができて楽しいです。

あと私が心がけているのは、嘘を描いたって構わないという開き直りです。デッサンが崩れているとか、人体はこう可動しないとか体勢がどうだとかの指摘はつきものですが、理解はしてもそういう正しさに囚われすぎない方がよいと思います。虚構を描いてなんぼの世界なので、正しいかどうかに固執するのは野暮ですよね。

以上が、お絵描きの練習や本番における私の考え方です。月並みな意見になりますが、大事なのはとにかく描き続ける・創り続けることなので、まず自分を第一に考えて、長く続けられる環境とメンタルを構築するべきではないでしょうか。

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