至れり尽くせりの優遇制度
投資・資産運用のトレンドとして近年よく話題にのぼるのが「iDeCo(確定拠出年金)」や「つみたてNISA」といった税金優遇制度です。
ここ最近ではオリエンタルラジオの中田敦彦さんのYoutube動画にて、経済評論家である山崎元さんの書籍を参考文献に、iDeCoなどを利用した堅実な資産運用・投資の方法がバズっていました。
iDeCoは60歳まで給付されないものの、掛金は所得控除になる・運用益は非課税・給付金も控除が利用できるという制度です。
積み立てNISAとNISAは利益が非課税となる保有期間が決まっている運用制度で、つみたてNISAは残り20年弱、NISAは4年程度で非課税期間が終了します。
しかしこのたび、つみたてNISAの投資可能期間が延長され、2037年で終わりと定められていたものが、2037年までの中でいつ始めても最長20年は投資期間が保証される仕組みとなりました。
メリットだけ考えれば至れり尽くせりでやらない手は無い制度なのですが、こうも多方面から持ち上げられ、iDeCoとNISAさえやっていれば情報強者みたいな風潮になっていると、私のような天邪鬼は何となく手を出す欲がどんどん削がれて粗探しをしてしまいます。
納得のいく理由を色々と考えていたのですが、ようやく個人的に腑に落ちる結論(屁理屈)に辿り着きました。
国を挙げてイナゴを集め買い支えをさせている?
市民の優遇制度に関して、普段は自ら勧めることなく、こちらが調べて申し込まないと知らんぷりをしている御役人が、国を挙げてここまで手広く手厚い制度を実施して、さらに老後資金2000万円というセンシティブな問題も提起して国民の危機感を煽った事には何か意味があるはずだと考えました。
その結果、今の日本株の高値との兼ね合いから、日本株の買い支えに小口の個人を引っ張り出したいのかなと思いました。
制度で購入できる対象銘柄は海外の銘柄も含まれるものの、リスクヘッジとしての分散投資で何割かは国内の銘柄も買われるでしょうし、通常のNISAよりもiDeCoと積み立てNISAの方が非課税期間が長くメリットが大きい事からも株を買わせて長く保持させたい意図がうかがえます。
日本の日経平均株価は、昨年にバブル崩壊以後の最高値を付け、現在もそれに迫る勢いで上昇していますが、景気実感としてはどうでしょうか?
ラグビーワールドカップによる特需もありましたが、消費税増税と未曾有の規模の台風災害もあり、景気は決して良いとは言えないように思います。
また日本だけでなく欧州やアメリカも含め世界的に金融緩和の流れが続いており、市場にお金が回ってはいますが、それによる投資や消費にも限界があります。日本において金融緩和に次ぐ対策がこれらの投資制度なのではないでしょうか。
Twitterなどではバブル相場が始まったという投資クラスタの声も少なくないので、そろそろババ抜きの時期に入ってきているのかもしれません。悲観で買って歓喜で売るという投資の格言もあり、歓喜が目前に迫る現状は買うべきではありません。
積み立て(ドルコスト平均法)による長期投資は、積立が長期であるほど購入額が平均値に収束するため、最終的に利益が出る可能性が高いと言いますが、マイナスからのスタートは精神的な負担があるので特に投資初心者の方は避けたいでしょう。
制度の期限や上昇相場などで、早く投資に参入しないと損した気分になってきますが、それは「FOMO」の気持ちです。FOMOとは「Fear Of Missing Out」の略で、訳は「取り残される事への恐れ」になります。
常に最新情報を追わないと不安になるSNS依存の精神状態を例えたスラングですが、上昇相場で焦って投資する人を揶揄する意味でもたびたび使われています。
焦らなくても相場は逃げないので、私個人は仮想通貨に投資している状況も一因としてありますが、株においては価格が割安だと判断できるまで気長に待っている最中です。