【宇崎ちゃん献血ポスター】大炎上したお気持ち案件の騒動について

宇崎ちゃんのコラボ献血ポスターがセクハラ・不適切かどうか考えました。

宇崎ちゃんはセクハラか?

元号が変わり年の瀬も近付くなか、2週間ほど前にとんでもない爆弾が落とされ、その炎はいまだに広がり続けています。話題が伝播して当事者は変化し続けているんでしょうけど2週間炎上し続けるって凄いエネルギーですね。

以前書いた「お気持ち表明」記事のアクセスが増加しており、その原因であろうこの問題について追記をしようとおもったらボリュームが単独の記事レベルになったので、新規ブログ記事としてアップしました。

案件の概要は、日本赤十字社の献血キャンペーンのコラボ作品として採用された漫画『宇崎ちゃんは遊びたい!』において、キャンペーン告知ポスターに使われたキャラクターイラストが過度に性的であり、性差別や女性蔑視・セクハラにつながる、あるいはポスターそのものが環境型セクハラであるという批判の声が挙がり、賛否を巻き起こしています。

どんなイラストかと言いますと、大きな胸が目立つ服装(二次元イラストの属性で言うと乳袋、露出度は低い)のアオリ視点(下からの目線)で描かれたキャラクターが挑発的な目つきで「何で献血未経験なんですか?注射が怖いんですか~?」と喋っている絵です。

参考 「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーン実施!|新着ニュース・プレスリリース・イベント|神奈川県赤十字血液センター|日本赤十字社

批判的な人の言い分としては、大きな胸が過度に強調され、頬を赤らめ挑発的(セリフ的にからかっているに過ぎない)な目つきをしていることから、性的な感情を煽るイラストであり、赤十字社の献血という公共性の高い活動に対しイラストが不適切であるという感じです。

また擁護する人の言い分としては、問題視されるほど扇情的ではない、コラボキャンペーンなので好きにさせるべき、実在女性を性的に消費することとは繋がらない。などでしょうか、両者とも私個人が騒動の流れを眺めていたうえでの印象なので実際は異なる可能性があります。

こういったお気持ち騒動で一番の問題かつ、このような問題提起が時間が経つにつれて「お気持ち案件」として一蹴されてしまう原因は、SNSの弊害とも言える「まったく異なる価値観や意識の人同士の論争」にあると考えます。

このような炎上の仕方をしてしまうと両者の意見どちらにおいても、論調が全く異なる数々の意見が話題に上ります。

批判的な言い分を例に挙げると、ポスターで大々的に見せるものとしては不適切だよね程度の人も居れば、このイラストそのものが女性蔑視である、環境型セクハラであるというレベルの人も居て、そのそれぞれの意見が、それぞれの価値観に沿う人達によって賞賛され、全てが発言力の高い意見に見えてしまうという、ただただカオスな状況となっています。

擁護的な意見においても同様です、扇情的ではないと思うにしても理性的に所感を述べる人も居れば、批判している人間が逆差別だ!なんて極論を言う人も居ます。

このような議論の仕方が続くようでしたら、この問題をフェミニストの方々の目指す社会の実現の進展に繋げるのは難しいし、批判を受けたコンテンツが好きな人は叩かれ損で、誰も幸せにならない焼け野原ばかり増えていきます。

じゃあどうすればいいのかについては、必要なのは「意見のすり合わせ」なので、少なくともどちらの立場においても、異なる意見や議論の対象そのものを一方的に悪だと断罪するのは必ず反発を生むので止めるべきです。

エロく見えるが、文脈を読み取れば全く問題は無い事が分かる。

これは「私個人」の意見ですが、本ポスターは「卑猥な絵に見えるが、文脈と経緯を理解すればエロが目的ではない事は容易に分かるので問題ない」と考えます。

このポスターは献血「キャンペーン」の告知を兼ねたコラボポスターです。キャンペーンとは何かと言うと、対象の献血ルームに行き「キャンペーン参加します」と言って献血を受けると、当該イラストのクリアファイルが貰えるという期間限定のキャンペーンです。

期間限定のキャンペーンという事は時期が過ぎれば撤去されると思われますし、いきなり脈絡なく胸が大きいキャラを使ったわけではないという事が分かります。宇崎ちゃんファンを対象にした「任意参加」のキャンペーンを宇崎ちゃんファンに分かるように告知しただけです。

そして今回のコラボ作品である宇崎ちゃんは胸が大きかったというだけです。露出度が高かったり、胸以外のボディラインが強調されているという事もありません。

挑発的な表情もセリフから「からかい」の意図である事が分かります。イラストが流用であるせいですが何故かパフェ持ってるし。サンデーかもしれません。口が物凄いでかいカマボコみたいなのも踏まえて、私に言わせればコメディタッチです。

  • 期間限定(過ぎれば撤去されるであろうもの)
  • 任意参加のキャンペーン告知ポスター
  • 宇崎ちゃんのファンが対象
  • 露出度は低い
  • 表情に性的なニュアンスは無い事がポスター上で読み取れる

仮に、常設の献血ポスターに頬を赤らめた大きい胸のキャラの描き下ろしイラストが脈絡無く採用されたら変な話だなと思いますけど、上記の事実が確認できる宇崎ちゃんまで女性蔑視と絡めて問題視するのは飛躍しているかと思います。

お気持ち表明自体は悪い事じゃない

ここまで「お気持ち」は揶揄される対象という前提で書いてきましたが、自身の不快感などをアピールするのは全く悪い事ではありません。具合が悪くなったらそう言えば誰かが手を貸してくれるように、嫌な物は嫌だと言う事は良い意味で周りを巻き込んで考えるきっかけを与えてくれる行為です。

でも今回みたいな線引きの曖昧なものに対しても、一言目から規制・差別・セクハラ等の非常に強い言葉を投げつけて断罪するのは建設的ではないですよね。それこそセクハラの要因の一つとなる、デリカシーの無い言動とベクトルは同じなのではないでしょうか。

今までそういう扱いを受けてきたと言えばそれまでですが、同じやり方をし返していたらもはや戦争ですよね。理性が必要な議論なのに理性的とは程遠い方向に進んでしまいます。

ネット上の発言はデタラメでも理論武装していたり、大義名分に基づいた物の方が賛同や注目を集めやすいので、強い論調になりがちですが、実際起きている事の重大さに対して提起している問題とか要求がフェアかどうかも考える必要がありますね。話題にもよりますが皆さんもっとゆるく議論できたら良いんですけどね。

以前書いたお気持ちに関する記事はこちらです。

お気持ち注意。個人的な意見と普遍的な問題は切り分けて考えよう。 お気持ち表明になってない?SNSの使い方を考え直す