お気持ち表明になってない?SNSの使い方を考え直す

お気持ち注意。個人的な意見と普遍的な問題は切り分けて考えよう。

ここ最近のTwitterなどのSNSでは、その拡散性や浸透率を有効活用し、ハッシュタグなどで結束した社会運動などに利用されるという新たな使われ方も徐々に広まっており、もはやただのコミュニケーションツールの枠を超えた一面も覗かせています。

日常や趣味での繋がりではなく、価値観や思想におけるコミュニティグループも利用者の増加に伴って規模が大きくなっていて、個人的に最近はデリケートな話題や社会問題に関する議論の過熱感の度が過ぎていて、いわゆる「お気持ち案件」の炎上が増えてきているように感じます。

ネット用語「お気持ち」とは?

繊細な問題に対する個人的な発言を揶揄する言葉として、たびたび使われるネットスラングが「お気持ち」です。語源は現在の上皇さまが生前退位の意向を述べられたテレビ放送に関する報道の際にお気持ちという言葉が使われたからだと思います。

ネット用語としての意味は明確に定義されていませんが「個人的な価値観や思想に基づいた不快感などについて、不快感を覚えるきっかけとなった物が社会的・普遍的に大きな問題があると一方的に決め付けて批判すること」への皮肉として使われています。

俗っぽく言うと「単純に自分が嫌いなだけで、一般的には問題ない物事を、屁理屈こねて叩いている」事への突っ込みです。

こういった意見をブログやツイートで述べる事を「お気持ち表明」またそんな「お気持ち」がきっかけとなったトピックを「お気持ち案件」と言います。

極めつけに、価値観や思想が先鋭化して、自分の感覚が広く一般的であると根拠なく断定して、不快感の対象そのものを排除しようとしたり、擁護するフォロワーを異常者扱いして攻撃する人物は「お気持ちヤクザ」という蔑称で呼ばれています。

なぜ語源としては有難い言葉がスラング化したのかについては、天皇さまとの対比で、一般人の個人的な意見や感想の価値を皮肉る意味と語感が丁度よかったのではないかと思います。

負の感情はすぐに拡散する

怒りや同情など、感情に訴えかけるうえに主語が大きくなる「お気持ち」投稿は、それに対する反発も燃料となることで急速に拡散して炎上状態になるうえに、矮小な出来事を大ごとのように下駄を履かせている事も少なくないので、社会的に大きな問題が解決される訳でもなく、大多数の人が不快になるだけのネガティブの塊になります。

こういった議論は個人によって線引きが大きく異なるデリケートな話題でよく起こります、代表的なのは差別観や創作物における性表現です。ネット上でフェミニストを表明している方が、公共の場における表現を問題視する投稿は波紋を呼び、たびたび大手メディアにも取り上げられる大騒動になります。

こういう普遍的な価値観に訴えかける話題は誰しもある程度の線引きや考えがあるので、目に入ったら口を挟みたくなるのはやまやまですが、実際に問題が解決する事はあまりなく、お気持ち案件ごとに是か非か考える事は有意義じゃないので反応せず無視するのが一番に思います。

同じカテゴリの問題でも、すり合わせなど行っている筈もない個人的な意見が発端となるので、議論の温度感がその時々によって一変し、基準がコロコロ変わる様子を「お気持ち案件」を好まない方々からは「動くゴールポスト」と揶揄されている現状です。

なので意見を表明する場合は感情的にならず落ち着いて、きちんと自分の価値観に向き合い一貫性を持って、デリケートな問題ゆえに自分の意見が正しいとは言い切れない事を理解して成り行きを見守るのが良いと思います。

お気持ち案件の見分け方チェックリスト

  1. 【優先度高】過去から存在する価値観の歪みや偏見と、今回の問題との関係性は薄いといえる根拠がある。
  2. 提起された問題によって、直接的に不利益を被ったり傷ついた人は極めて少数だと判断できる。
  3. 問題提起している人たちが、その対象に個人的な負の感情(キモイ等)を持ち合わせている。
  4. 問題とする部分のアウトorセーフの線引きにおいて賛否両論である。

個人的にチェックリストを作成してみました。思いついたらそのつど項目を追加していきます。〇が多いとお気持ち案件に寄っていきます。断定するためのチェックリストではありません。また問1をまず否定できる物でないと大した問題にならないと思ったので、優先度を高めています。

例えば宇崎ちゃんポスター騒動においては、問1は扇情的な表情の巨乳を強調したキャラが性的消費だという人が居ましたが、表情に性的興奮を煽る意図は無く、キャラの身体的特徴とイラストの表現方法によるものと説明できるので、悪くても△です。あのポスターを見ただけで不利益やショックが発生する人はいないので問2は〇、ポスターが気持ち悪いという人たちが多数存在したので問3も〇。また表現の是非は賛否両論だったので問4も〇、結果的にあのポスター騒動はお気持ち案件に近いと判断します。

他に最近話題になった漫画『ルックバック』騒動については、特定の疾病への偏見を助長する表現だという議論でかなりの波紋を呼びましたが、ステレオタイプな精神疾患の表現であることを否定する意見に乏しかったと思われるので問1は✕とします。その疾病に悩む方たちが少なからず傷ついたとのことで問2も✕、ルックバックや藤本タツキ先生自体が嫌われている印象は無かったので問3も✕、表現の是非は賛否両論だったので問4は〇、総合的にルックバック騒動は意義のある問題提起だったと言ってもよいでしょう。

おまけに河村たかし市長のメダルかじり騒動で当てはめると、明らかにあの行動はパワハラとモラハラなので問1は✕、根本は市長と後藤選手の当人同士の問題なので問2は〇、国民のほとんどが嫌悪感を覚えたので問3は〇、国民のほとんどがアウト判断したので問4は✕。回答数は五分ですが、問1の優先度を考慮して河村市長への批判は妥当であると判断できます。

このチェックリストはあくまでも私個人が、デリケートそうなニュースをどう判断するか大まかに言語化してみたものなので、何かを批判するためのタネに本記事やこのチェックリストを使う事は厳禁です。

個人の正義が激化

ただお気持ちなんて揶揄されますが、これも冒頭で書いたコミュニケーションツールの枠を超えた使い方の一面なんだと思います。こういったお気持ち案件の発信者は自らの思想に基づいて本気で改善しなければいけない問題と捉えているパターンも少なくありません。

また「お気持ち」という言葉が暴走しているパターンも増えてきました、一般的に問題視すべき内容もお気持ちと断定してしまうと、問題が埋没してしまったり発信が萎縮してしまう危険性もあります。

ネットが広く浸透した現代では、匿名の投稿や拡散が非常に容易になったので様々な意見が錯綜し、自分の価値観に沿った意見を見つけて支持する事も難しくないです。

自身が問題視していないことが大問題のようになっていたり、またはその逆の状況に直面した時は気持ち悪いという感情が芽生えると思いますが、安易にその感情に誘導されないよう気をつけましょう。

毒を吐かず、スルースキルを上げるコツ

波風立てるような投稿をする方は、半ば確信犯的に行っており並々ならぬ感情がこもっているので、見た人も感情を揺さぶられるのは仕方のない事です。大事なのは何か物申したいことが起きても、ツイートの送信ボタンを押さないか、穏やかな論調に徹すればよいのです。

落ち着いてSNSを利用するコツとしては、自分の中に客観的かつフラットな存在を想像することです。イメージとしては元2ちゃんねる管理人の西村博之さんです。彼の名言に「それあなたの感想ですよね?」という言葉があります。

この言葉は大体のお気持ち表明のカウンターとして適切だと思うので、これを心に留めておくと、ふとした時に客観的な目線で自分の意見を再考することができるので、わざわざ表明することじゃないなと振り上げた拳を下ろす事ができます。

一番はROM専(Read Only Member)となって議論や事件を中立的に観察することが、見聞を広めるのに適していると思います。

注目を集めるのは強い言葉

ただやはり悪目立ちを含めて、人の注目や一定数の支持者を集めるのは、偏った極端な意見を歯に衣着せず発信することができる先鋭的な人なので、仲間を増やしたい方は自分のスタンスを臆せずどんどん発信していくと自然とコミュニティの輪が形成されていくと思います。

しかし中立ではない意見を発するという事は、多方からの反発を受ける可能性が高いご時世なので、清濁併せ呑む覚悟が必要です。

これも個人的な「お気持ち」になりますが楽しい話題やコンテンツで輪を作るのがネットの一番良い所だと思うので、炎上商法や注目を集めたもの勝ちみたいな昨今の風潮には賛成できません。

2019年10月、大きく論争を巻き起こした「宇崎ちゃん献血ポスター」の件について記事にしました。

宇崎ちゃんのコラボ献血ポスターがセクハラ・不適切かどうか考えました。 【宇崎ちゃん献血ポスター】大炎上したお気持ち案件の騒動について

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