『絵師さんに表紙を頼んだ話』という気持ちのすれ違いの話
先日、はてな匿名ダイアリーで自作小説の表紙イラストを依頼した同人作家さんの、イラストレーターさんに対する恨みつらみの文章がはてなブックマークにてバズっていました。今は元のページは消されているようなので、魚拓・アーカイブによるログがあるよとだけ言っておきます。
参考 絵師さんに表紙を頼んだ話 参考 Internet Archive内容を要約すると、自分の同人小説の表紙イラストを、感想などいただいた事のある絵師さん達に頼んでいるが、自分から具体的にリクエストしないとちゃんとした背景を書いてくれない上に、キャラの表情も一様に想定とかけ離れていて暗い顔で悲しい、さらにこの前ないがしろな扱いを受けてトラウマになった。自分の実力不足のせいかもしれないがあんまりだ、もう第三者に頼むのが怖い。という感じです。
クリエイターの受託における問題と少し絡んでいたり、投稿者が作家さんなだけあってとても情景や情緒が豊かに書かれていたので、投稿日時が数ヶ月前にも関わらず何かのきっかけでバズり、議論を呼んでいます。
本記事では今回のような問題の改善の一助になればと、イラストを描く側のはしくれの意見を書いていきます。
その前に前提として、基本的に依頼されること自体がイラストレーターにとってはありがたく嬉しいことなので、気軽に依頼するのが一番です。
一番最初のリクエストは細かくても問題ない
上記の記事の投稿者さんなら、自分のイメージを分かりやすく言葉にするのは容易だと思うんですが、読む限り何度も期待を裏切られている様子なので、恐らくそこまで細かくはリクエストしていないだろうと考えます。そしてなぜ細かくリクエストしないのかは、文章の様子から遠慮だと推測します。
アレコレ指示したら嫌がられるかな…と考えているのかもしれませんが、私の意見としては、ラフなど形になってからの大量リクエストは止めて欲しいですが、ラフを描く前の一番最初の段階での指示は多くて問題ありません。
イラストを一から描く時はそれなりに色々な事を考えます、構図やポーズ・角度・向き・表情・イメージ(かっこよく・かわいく等)など、ざっと考えてもこれだけの要素を想像しながらラフを描いていきます。
自分で好き勝手に描くイラストの場合はハードルにならない作業ですが、受注イラストとなると、依頼主様の頭の中にイメージ(答え)が存在するはずと考え、その答えに近づくようリクエストの文章などから依頼主様の好みや希望を読み取ろうとします。
それが詳細に書かれているほどイメージの共有が出来るうえに、描く側がいろいろ想像する過程が省けるので少しだけ作業の短縮にもなります。逆に最初のリクエストが簡素だと、イメージを汲み取れたか分からないので「満足していただけなかったら残念だなぁ」と少し不安になります。
あくまでもこれは私個人の考えで、「俺は何と言われようと描きたいように描くぜ」というイラストレーターさんもいるかもしれませんが、最初の段階で細かくイメージの共有をしてくれるのは、大抵の人は面倒と思わないはずです。
細かい背景や綿密な打ち合わせは、特別な対応
「ちゃんとした背景を描いてほしい」「イメージをまとめて伝える自信が無いので、通話やチャットで綿密な打ち合わせをしたい」という希望は半ばお仕事レベルの特別対応と考えます。どちらも作業量が格段に増えてしまうからです。
特に背景はイラストの一部で、メインであるキャラクターにも干渉してくるので、描く側としてはさらに多くの情報が欲しいです。いずれにしても「とりあえず描いておくか」な気持ちでは出来ない作業量なので、上記の日記に書かれていた、描いてと言わないと描かれないのは仕方ないと思います。
イラスト依頼で伝えられたらありがたい情報(強制ではありません)
最後に、イラストの依頼でイラストレーターが欲しいであろう(と思う)情報を書いていこうと思います。
あくまでも私個人の意見かつ、強制するものではありません。もし希望がイメージできているのであれば書いてほしい情報です。上述しましたが基本的に依頼されること自体がありがたく嬉しいことなので、気軽に依頼するのが一番です。
構図・ポーズ
- 画像は縦長か横長か
- 全身がイラスト内に収めるか、見切れててもいいのか
- 強調してほしい部位
- どんなポーズか(伝え難ければ参考画像でも)
コンセプト・イメージ
かっこよく・かわいく・強そうに・エロ(ちょっとお色気要素あり・健康的なエロ・淫靡なエロ・お色気要素なし)・躍動感などなど
表情
笑顔でも微笑なのか大口開けているのか、怒りでもジト目見下しなのかブチギレなのかありますね。
色
印刷すると色味が変わるので、印刷して飾る予定とかは先に言うと吉。
割と簡潔に伝えることが出来てイメージの大部分を占める要素はこのくらいでしょうか。依頼主様が、希望のものが来るか不安なように、描く側も喜んでもらえるか気にしているので、なるべく手間なくイメージを共有して気持ちよく取引ができたら最高ですね。