イット続編『IT THE END』ネタバレ考察【注意】

イット続編『IT THE END "それ"が見えたら、終わり。』の難解な箇所などを考察します。

11/1に公開された映画イット第二章『IT THE END “それ”が見えたら、終わり。』のストーリーについて、メタネタや解釈が難しい箇所がいくつか見られましたので、それらについて私なりの考察を記事にしました。ネタバレ注意なので未鑑賞の方が記事本文を不意に読んでしまう形でのシェアや引用はご遠慮願います。

以降に記す各作品における呼称は下記の通りです。

本作/第二章:IT THE END
第一章:2017年のIT
旧作/テレビ版:1990年の映像版IT

ビルの小説・作品の結末が残念と言われ続けるのは?

27年後のビルは売れっ子作家となっていますが、物語の結末については不評で、登場人物から結末は酷いと袋叩きにあっています。これに関しては、原作者のスティーブン・キング氏に対するメタファーであると考えます。

小説およびテレビ版『IT』や『ミスト』など、氏の作品には物議をかもす結末のものが結構あり、それを愛のある皮肉にしたのが、あのいじりかと思われます。ちなみにキング氏本人は本作品にカメオ出演しており、シルバー号(自転車)をぼったくり価格で売るリサイクルショップ(?)の店主で登場します。

私は昔に放映されたテレビ版『IT』と『ミスト』を視聴したことありますが、前者は映像も内容も残念な結末で、後者は嫌な気持ちになる後味の悪い結末です。

なぜスタンは自殺したのか?

スタンは本作の冒頭で自殺してしまいますが、それについて疑問が残る方もいると思いますので、それについての解釈を記載します。

まず本作のラストで彼らに届くスタンの手紙(遺書)には「7人の関係性が時間の経過で変わり、誰かが集合せずペニーワイズに負けるのが恐かった、しかし自分が来なくては結果的に集合できないので自分の存在を消すことにした」という内容が記されていました。自殺の理由としてはこれで間違いないですが、突然の後付けとも思えてしまいますよね。

しかしこれを補足する描写として、クラブハウス(ベンの作った隠れ家)での回想におけるやり取りでスタンは、ルーザーズクラブが大人になったらもう集まれなくなるのは嫌だと1人だけ不安がり、ベバリーがそんな事ないと慰めるシーンがあります。

また、中盤のリッチーの回想にて、スタンはユダヤの儀式におけるスピーチで、自分は変わりたくないと儀式を途中退出するシーンもあります。

このことから、スタンはルーザーズクラブにかけがえのない価値を感じており、主に人間関係が変化する事を非常に恐れていて、上述した遺書の通り誰かが集まらず、ペニーワイズに負けるのだけは見たくなかった・避けたかったんだと思います。

ただこの想いが裏目に出て自分だけが来なかった時の保険として、自らの生命を絶つ事で、1人欠けているという状況が無いようにしたという事ですね。彼なりの考えを持ってケジメをつけたわけです、臆病なのか勇敢なのか分かりませんが、7人の誓いと絆だけはどうしても裏切りたくなかったんですね。

スタンは旧作でも同じくバスルームで手首を切るのですが、特にこのような切ない描写はなくヌルッと死んでしまいます、原因も少年時代のペニーワイズとの戦いで一番身近で恐怖を感じたからではないかというものです(第一章のベバリーのようなピンチにスタンが陥っていた)。このような残念な扱いの救済ともとれますね。

ペニーワイズの変化とは?

マイクが劇中でペニーワイズが変化したと言いますが、この変化については、トラウマを突くことなく大人も襲う事ができるようになったという意味だと解釈します。

ペニーワイズは第一章では子供しか襲わず、またペニーワイズのイタズラ(血や風船)は大人には見えないものでした、これが二章では冒頭でゲイカップルの片割れに喰らいついたり、大人になったルーザーズクラブに対して中華料理屋で禍々しい幻覚を見せたりとやりたい放題になっています、これが変化の意味だと思われます。

ただ本作のラストの通り、獲物がペニーワイズの存在を心から恐れていないと強い力を発揮できないのは変わらずで、獲物の恐怖心に関わらずルーザーズクラブに危害を加えられるヘンリーを重宝している様子もこの弱点から理解できます。

このヘンリー・バワーズに対する扱いは旧作の方が詳しく説明されており「ペニーワイズが生み出す化け物は実体がなくルーザーズクラブに危害を加えられないからお前が必要」と監獄に居るヘンリーに対してペニーワイズと化け物が呼び掛けるシーンがあります。

ちなみに冒頭のゲイカップルの片割れが殺される描写はリッチーとエディの関係性、およびエディの死の伏線です。リッチーはエディに特別な好意を抱いていたのが中盤以降で明らかになるのと、殺される方のゲイの男性が吸入器を持っていることから読み取れます。

ペニーワイズが言っていたチュードの儀式は『偽薬』という意味は?

ペニーワイズを殺す手段としてマイクが提示した「チュードの儀式」ですが、結果は失敗に終わり、真の姿を現したペニーワイズは「この儀式はエディの偽薬みたいなものだ」と言いました、この意味について考えていきます。

まずマイクが先住民から教えてもらったチュードの儀式について、マイクが儀式の道具の模様をナイフで削って見えないようにした都合が悪い部分(儀式に参加したものは殺される)にあるように、先住民はこの儀式を成功(無傷でペニーワイズを封印)できていません。

マイクは儀式が成功しない原因を先住民の意志が弱かったせいだと考えていましたが、おそらく本作における儀式の効果は「儀式の参加者を生贄にしてペニーワイズを呼び出し27年後まで眠らせる」だけなのだと考えます。そういう実際に効果が無いことを揶揄して偽薬という言葉を使ったのではないでしょうか。

ペニーワイズは何だったの?

ペニーワイズはどこから来た何者なのか、という問いにつきましては、先住民の言い伝えの通り、太古の昔に現れた謎の生命体以上の真相は無さそうです。何かしら納得のいく原理などを求める方もいるかと思いますが、そういうものとして割り切りましょう。

私は第二章を観た翌日に旧作も見てみたのですが、結果として映像版だけでは世界観を把握しきれなかったので、大作の小説版にも挑戦してみようと思います。

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