自覚することと、知ることが大切
先日、友人がポンジスキームと言われる投資詐欺の可能性が高い儲け話に乗っかってしまっているという話を聞きました。
ポンジスキームとは、月利10%以上の高配当の資産運用案件や商品を謳って出資させるが運用の実態は無く、配当は出資者の元金から出したり、巧妙に追加の投資金にまわさせたりして、自転車操業のように破綻まで出資者を募り続けるという詐欺の手法です。
特殊詐欺や寸借詐欺など、人の感情を揺さぶる手口はとっさに防ぎがたいですが、上記のような詐欺はわずかな知識、そうでなくとも簡単な心がけで回避できることだと思うので、それらの要素を書いていきます。
コネや知識が無い分野において、うまい話が向こうからやってくる事は無い
うまい話は絶対に無いという事は無いです。私もわずかな経験しかありませんが、少しの手間で大きなリターンが得られる仕組みというのは時代や流行とともに形を変えて確かに存在します。
ただしその利益を享受できるのはタイミングや運、調査や判断力などの偶然と必然の要素が合わさった一部の人だけと言っても過言ではありません。
コネや知識が無い人に届く情報は、そこに新鮮さやうま味なんて全く無い、最後の最後に出てきた絞りかすのようなものです。自分が詳しくないうえに、その分野に精通しているわけでもない人物からの儲け話は乗らない方が安全です。
必ず儲かる話を教えてもらえる関係性は殆ど無い
投資詐欺などの常套句としては、限られた人にだけという希少性を謳うものがありますが、実際のところそんな一握りの話を持ち込んできてくれる程の深い繋がりを持つ友人・知人ってそんなに居ませんよね。その話を持ちかけてきた人と立場を入れ替えてみて、一握りの美味い話を真っ先に共有したくなる関係か考えてみましょう。
芸能人や有名人の関与は危険なシグナル
芸能人や有名人の名前を出したり、広告の掲載実績や大きなパーティ等の催しで信頼感をアピールする手法も話半分に聞いておきましょう。
たびたび怪しい商材やビジネスに関与した芸能人が炎上しているように、さほど精査することなく仕事を請け負う事務所のタレントが存在します。広告も然りです。
逆にそれらは広告費にそれなりのお金をかけているという目印になり、ではその費用はどこから出ているのかという疑問が湧いてきます。もちろん殆どは被害者の出資金でしょう。ということは外見ばかりで中身の伴わない商品である可能性が高くなります。
投資における相場を知る
たびたび国会議員が食品や日用品の価格に対して無関心である様子をワイドショーなどで報道したりしていますが、投資詐欺に騙されるのは、投資における年利などの利益率を知らないからという理由もあるかと思います。これでは国会議員を笑えません。
手近なところで言えば銀行の金利ですが、これはご存知の通りどこも雀の涙でコンマ以下の利率です。また株における株主優待や配当などの利回りは、年利2~3パーセント程度で、それ以上あれば高い部類です。不動産なんかはもう少し高くなります。
より高利率の金融商品を選ぶとなると、ボラティリティ(価格の変動率)が大きいものになりますが、こういった銘柄はもちろん下落などによる損失のリスクがあり、とても人に気軽に勧められるものではありません。
それを考えると、投資詐欺で謳うような月利10数パーセントがどれだけありえない高利率かが分かります。たったこれだけの事を知っているだけで話を持ちかけられた時の印象が180度変わりますね。
こういった知識や心構えを備えていないと長期間騙されたままになり、お金が返ってくる望みがどんどん薄くなります。私も友人の件で法テラスに相談したことがあるのですが、弁護士は法的な説明はできるけど、騙されている人の説得に繋がるかは明言できないと言う返答だったので、一度騙されてしまうと本人の目が覚める時間の問題となります。
詐欺のニュースを見て「こんなのに騙されるとは」と思う事はたびたびありますが、人物像や環境を知っている人が被害を受けるとそんな一言では片付けられない色々な感情が湧いてきます。この記事が1つの注意喚起となれば幸いです。