🎦映画「グリーンブック」の感想 | 差別の世界へようこそ

映画「グリーンブック」見てきました

パートナーの勧めで映画「グリーンブック」を見てきました。非常に心温まりながらも考えさせられる事が多かったのでレビューおよび感想をしたためようと思います。

ブルーレイとDVDの発売が正式に発表されました!発売日は2019年10月2日(水)で定価はブルーレイが4,800円(税抜)でDVDが3,800円(税抜)とのことです。同日にTSUTAYAで先行レンタルも始まります。

映画「グリーンブック」あらすじ

時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。

https://gaga.ne.jp/greenbook/about.html

老若男女を問わずお勧めできるハートフル映画の中に垣間見える時代背景

本作は黒人差別がひどい時代のアメリカで荒くれ白人と黒人ミュージシャンが旅をするというストーリーですが、残酷な暴力描写や陰鬱な雰囲気は殆どと言っていいほど無く、ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で作品賞を受賞するくらいの。劇場内のそこかしこで頻繁に笑いがこぼれるタッチの映画です。社会問題というものを認識し始める程度の自我は必要ですが、子供に見せても大丈夫な映画だと思います。

【ネタバレ有】奇跡ってなんだ?

鑑賞後に公式ページを見ましたが、キャッチコピーに「旅の終わりに待ち受ける奇跡とは?」とあります。本作の奇跡について以下にネタバレ気味に語りたいと思います。本作の全体のあらすじとしては

「白人のおっさんと黒人のおっさんが旅を通じて仲良くなる」これだけです。

「グリーンブック」感想:差別の世界へようこそ

舞台は1960年代のアメリカ、映画が始まり数分後、主人公のトニーが朝目覚めるとリビングでは男達が騒いでいます。どうやら親戚のようです。リビングに来たトニーに気付いた義父は、自分達が来たからいいものの娘(トニーの嫁)を1人にするなと窘められます。何事かと嫁のいるキッチンを見ると、嫁のドロレスとその横に修理工のような黒人の男2人がいます。

嫁のドロレスは愛想よく黒人2人に飲み物をふるまい、仕事を終えた黒人達は飲み物をいただいてから去っていきました。その後トニーは黒人達が口をつけたコップを何のためらいも無くごみ箱に捨てます。

トニーとドク

トニーは暴力的ですがダークヒーロー的な魅力を持つ良い男です。口が達者で腕っぷしとずる賢さも備えており、嫁と子供を愛し愛されています。親戚や同僚(悪友)、仕事を回してくれる資産家?との付き合いも良好です。食事前にきちんとお祈りも捧げます。

雇い主のドクター・シャーリー(ドク)は天才ピアニストかつ博士号をいくつも持ち、お金持ち相手のコンサートもこなす気品も備えた完璧な黒人男性ですが、トニーとの初対面は美術品に囲まれた大きな部屋で、見慣れぬ衣装を着て感情表現に乏しく、どこか異質な人物という印象を受けます。

トニーはドクとのコンサートツアーのマネージャー兼運転手としての旅が始まってから、心を通わせつつも数々の衝突があります。アクシデントのきっかけの大半はトニーの行儀の悪さです。

何が当たり前で何が異常?

この映画は魅力的ながらも対照的なトニーとドクの心温まる人物描写と、当時あったどす黒い差別がシームレスに入れ替わる独特の世界観の作品です。

ドクは気品に溢れた男性です、スーツを着こなしマナーを身に着け文学や文章も堪能。一方のトニーは食べ物はこぼす、どこでもタバコを吸う、手紙を書けば誤字脱字、車の窓からポイ捨てをし、ムカつく奴に容赦しません。

ドクの演奏会にはたくさんのお金持ちが集まります、どの会場でもお金持ち達は、ドクの天才的な演奏をスタンディングオベーションで讃え彼に握手を求めます。

そこでもトニーはいつも通り、庭でタバコを吸い、口に合わない料理はウエイターのお盆に吐き出します。でもお金持ち達は顔色ひとつ変えません(描写されません)

快く演奏前の会食にも招かれたドク一行、主催者は歓迎の意を込めて、ドクの好きな食べ物としてフライドチキンを振舞いました。

しかし若くしてエリートの道を歩んでいたドクにとってフライドチキンは、この旅でトニーに半ば無理やり食べさせられるまで食べた事なんかない物でした。

そんな中なぜフライドチキンが好物だろうとして振舞われたのかと言うと、当時はフライドチキンは黒人奴隷のソウルフードとして偏見の目で見られていた事実があるのです。

また、幕間にトイレに入ろうとしたドクは白人の使用人に直前で呼び止められます。その使用人は何食わぬ顔で、トイレならあちらをお使いくださいと、館の外にあるボロ小屋の古いトイレを差されます。

印象的なのは、冒頭の黒人が使ったコップを捨てるトニーを含め、彼らの態度に悪意や罪悪感は殆ど見られません。

人は人、犬は犬のように、黒人を当たり前に差別しているのです。私は差別描写がシームレスに~と上述していますが、現代だから言える事でありシームレスもクソもなくそれが当たり前だった世界が反映されています。

本作への批判に対して

この映画「グリーンブック」はアカデミー賞を受賞するほどの評価とは一転して、白人のトニーが主人公として描かれて「白人が黒人を救う映画」に見える事に批判の声があるようです。

個人的な感想としては、批判にある白人主体に描かれる事がこの作品の魅力に繋がっていると考えます。

序盤でトニーの好印象と、壁を感じるドクという印象を植え付ける事で、当たり前のように黒人が差別されている時代背景を鑑賞者に受け入れやすくしているのではないでしょうか。

時と場所を越えて直視する現実

上映時間の三分の一から半分近くは、トニーとドクの友情と理解を育むやり取りが流れます。

これによって鑑賞者は2時間ちょっとの上映時間の中で、トニーとドクだけの世界、当たり前に黒人が差別される当時のアメリカ、自身の現在の当たり前の世間と大きく分けて3つの世界のギャップを見つめる事になります。

映画のはじめにテロップが入ります

「これは事実に基づいた物語」

何気ない日常と同じ空間でどす黒い差別が行われていた事が現実にありました。そして今現在も世界中に根深く残っていると思います。

トニーとドクは仲良くなりました、ちゃんちゃん。それが当時は奇跡でした。
当たり前とか奇跡って何だろうと考えさせられます。

はたから見れば些細な事でしかない「奇跡」は身近に転がっているかも…。

以上、映画「グリーンブック」の感想でした。

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