eスポーツが日本で流行らないわけが無い

eスポーツは日本でも流行すると思います

先日、NPB(日本野球機構)主催の『スプラトゥーン2』のeスポーツ大会が開催されました、オンライン対戦やスプラトゥーン甲子園といった当該ゲームの過去大会で活躍した強豪チームを、日本プロ野球の12球団がドラフト指名し選抜、各リーグで総当り戦を行った後にトーナメントでリーグ優勝を決定し、リーグ優勝チーム同士の日本シリーズ戦を行うといった内容です。総当たり戦上位のチームにはトーナメントのシード権が与えられています。

この戦いを制したのは何と成人がひとりも居ない平均年齢15歳のチーム「横浜Denaベイスターズ」代表「ハイパービーム」です。このチームと戦い日本一を逃した「福岡ソフトバンクホークス」代表「GG BOYZ」は過去大会で複数回優勝している絶対王者であり、その平均年齢は22歳程度であることからも、年齢と反比例した異例の成熟度であることがうかがえます。

大人と子供が同じ土俵で熱くなれる競技【魅力】

トップクラスの舞台で大人と子供が正面から競えるスポーツは中々ありません。卓球や、フィギュアスケートなど、反射神経や子供ならではの軽い体と柔軟なフィジカルが活かせる競技が多いでしょうか。大半のeスポーツもこれに当てはまります。

eスポーツの種目として扱われる事が多いゲームジャンルの1つは、FPS(ファースト・パーソン・シューティング)やTPS(サード・パーソン・シューティング)と呼ばれる銃での戦闘を模したゲームです。スプラトゥーンもこれにあたります。字面だけで見ると物騒さが感じられますが、デザインやビジュアルは十人十色で、攻撃性は殆ど削ぎ落とされたコミカルな世界観のゲームも多く存在します。

基本的にこの手のゲームはプレイヤー同士の遭遇戦が主体となり、瞬間的な判断とそれを実行できる操作の精密さが勝敗を分けます。手元のコントローラを動かすのに強力なフィジカルは必要なく、大人も舌を巻くようなプレイを子供が実践し、決定的瞬間が大スクリーンに映し出されます。

見た目の派手さと比べてルールは分かりやすいものが多く、誤審はもちろん試合の中断も殆どありません。性別や年齢の垣根を越えた選手同士が一同に会してお互いを讃え合う姿はとても目新しい光景です。

将棋や囲碁のテーブルゲームが親しまれ、ツムツムやポケモンGoのスマホゲーに老若男女を問わず熱中する姿から、日本人も無類のゲーム好きである事は間違いなく、そんな一大産業から派生する新たな興行、つまり金のなる木の芽を日本国や国内企業が放っておく理由も存在しませんから、個人的にeスポーツは日本でも一定の立場を得ると確信しています。

過渡期で色々なしがらみやノイズが多いものの、徐々に波及していってる現状が楽しくて仕方がありません。

選手のセカンドキャリアの計画がたてやすい【強み】

現状でプロゲーマーの選手寿命は、上述したような反射神経などのピークを考えると20代中盤と言われています。これに関しては賛否両論あるかと思いますが、個人的には心身ともに充実した年齢でセカンドキャリアに臨めるという点でメリットと考えています。ただ平均年齢が下がる分、家族ぐるみで選手の教育やマネジメントが必要となるので、その体制やノウハウが成熟するのはまだ先かなと考えます。

海外ではフォートナイトという人気ゲームの強豪プレイヤーである、15歳の少年がプロゲーマーに転身して学業は家庭教師に切り替えたというニュースが話題になっており、今後もこのような例が増えてくる事が予想できます。

選手の態度・パフォーマンス【課題】

今後の課題として、個人的に気になったのが選手の態度やパフォーマンスです。若年層が中心であることから、場にそぐわない格闘技のヒール(悪役)のような挑発的なパフォーマンスをする選手がいたりして、少しながら興が削がれる場面が見られました。

冒頭のNPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2では、チーム選定後の研修でプロスポーツ選手の振る舞いなどを教わる時間もあったそうなので、プロゲーマーという立場を確立するには、そういった意識も最低限は必要と思います。ただあまり規則で固めてしまっては、ゲームの親しみやすさが損なわれる気もするので、バランスが難しい所ではありますね。

視聴者の態度【課題】

今度は逆にネット配信などで散見される視聴者のコメントに関する問題も根深いです。基本的にゲームプレイよりもプレイヤーの容姿などに注目し、中傷するコメントが少なくない現状で、ここ最近では女性のスプラトゥーン上位プレイヤーが容姿の誹謗中傷に対する心境を吐露した事が話題となりました。

ネットの親和性が高いeスポーツと、外見に敏感な国民性および匿名性によるモラルの無さが相まってこの異常な状況を引き起こしていると考えますが、これを解決するには世代を跨ぐくらいの長い目で見る必要があると思います。

人の美醜をネタにするコンテンツというのはいまだにたくさんのメディアに溢れています。そのような差別にNOと言ってもいい事は、ようやく日本でも認知され始めたと言う程度で、個性の尊重という文化が浸透したとは口が裂けても言えない状況なのはどこを見ても明らかです。

見た目で差別する事が場合によっては尊厳をひどく傷つけるという事を、それを息を吐くように行う人に理解させるのはとても大変です。この事を理解できる人達が手を取り合って、NOと言う空気を時間をかけて浸透させていくほかありません。

ゲーム依存症【課題】

この件はたびたびメディアでEスポーツと関連付けられて槍玉に挙がるのであえて提示しましたが、eスポーツとゲーム依存症を結びつけて問題視する必要性は全く無いと考えています。

eスポーツがゲーム依存を助長すると言うのなら、お酒・競馬・パチンコ・ダイエットのCMやテレビ番組は、それぞれアルコール依存・ギャンブル依存・心理的な摂食障害を助長するのですべて廃止するべきです。アイドルなどの人気商売もタレントに対する依存を助長するので全て顔にモザイクをかけてもいいかもしれませんね。

依存症は個人の環境や精神状態も原因の1つであり、趣味趣向やコンテンツ自体に罪はありません。

新しい文化が生まれ、発展していく事を歓迎しない理由はありません。NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2を見て思ったのですが、eスポーツの発展によって新たに日の目を見たり、救われる人達が間違いなくいるはずです。私は選手を目指すには遅い年齢ですが、eスポーツが愛される文化になる事を願っており、貢献できることがあれば参加したいなと思っています。

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